Lost in Australia 

オーストラリアから 映画と英語と暮らしのことなど 色々と

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映画『ブラック・スワン』 - シネマトゥデイ

晴れ空の広がるブリスベンからこんにちは。

今日で公共交通機関無料期間が終了するので、ナタリー・ポートマンがゴールデン・グローブ賞を取ったことで人気のこの映画、「ブラック・スワン」を観てきました。
監督はひいきのダーレン・アロノウスキーだし、バレエも好きだし、ミラ・クニスもウィノナ・ライダーも好きだし。ブラック・スワン

まだ夏休みが続いているせいか、劇場はほぼ満員でした。

このポスターではナタリーきれいですが
実際はバレリーナによくあると言われている拒食症をわずらい
しかもプレッシャーから自傷癖を再発している、という設定だし
バレリーナって太ったらおしまいなので、本当にガリガリでほっぺもこけてました。

で、前評判がものすごくよいし、大傑作!というし
なんでも女性版レスラーだ、いや肉体と精神の変容と言う点ではアロノフスキー節炸裂だ!

そのうえ、ナタリーとミラのレズシーンもあるんですってよ!

そんな風に言われたらそりゃー期待しちゃうってもんです。

でも、なんか思ってたよりマイルドなような…。
いや、何かを思い出す。





映画『ブラック・スワン』 - シネマトゥデイ




設定がミヒャエル・ハネケのピアニストに似てないか???

抑圧的な母と芸術家の娘、という設定、
母がすべてをささげて自分の代替として娘に依存しているという関係、
よくある・・・のかもしれませんが、あの映画の恐ろしさに比べたら
ナタリー、レズシーンはやってるし、パンツ脱いでるし、薬はやるし、と
そりゃ「女優魂」みたいなものはあるかもしれませんが
でも、あちらのイザベル・ユペールのような狂気が感じられなかったんですよね。

あの映画のイザベルは元から狂ってる…といってしまえばそれまでなのですが、
ナタリーもいわば、自分の中の悪と向き合っていくわけで、
でも、同じイザベルなら、イザベル・アジャーニの「ポゼッション」という怪作もあって
美女の中の悪がじわり、じわりと人格を侵食していく経過を描いていて
そりゃあもう鬼気迫るものがあったのですが、
それに比べてもなんだかナタリー演じるニナが自分の中の悪に目覚めていく姿が
どうもこう、ぴんとこない。
自分の中の悪や狂気を発見する、にしてはやっぱりナタリーって清純っぽく見えてしまうのが難点。

ライバルとなる奔放なリリーも、奔放…というより単に今時の娘にしか見えなくて
しかもミラ、顔がかわいらしいせいもあって悪の化身、って感じがまったくしないんですよ。

それでも、母の抑圧を受け、部屋もまるでティーンエージャーみたいな様子でいるところに
まったく性的なものが見受けられない、まだまだ精神的に思春期、みたいなニナにしてみれば

「こ、こんな風なのがブラック・スワンなのね…」

みたいにガガーンとなったんだろうか。

どうもおばちゃんな私には若いきれいな娘二人がクラブでお酒飲んで羽目をはずしている様子は

「あらあら、若くてかわいいっていいわね~」

みたいにしか思えなくて、母に反抗する姿も自分の中の強さに目覚めるというより
やっと大人への階段を上りだしたか!くらいにしか思えませんでした。

一箇所、最後のほうで代役を立てることになったところを
初めて強さを発揮して、プリマであり続けるところだけ、
二ナの変貌がはっきりしたのですが、
それもニナが強くなったのであって、悪や誘惑といった自分の中にある暗い側面を見出した、とはちょっと。

母への反抗を指す自傷行為や、
せっかく得た役を取られる恐怖、
自分の完璧を目指す姿勢が通用しないこと、
といったさまざまなプレッシャーにより壊れていくニナなわけですが
どうもレクイエム・フォー・ドリームスの

「これ絶対下手なホラーより怖い」

感がなく、

レスラーにあった「がけっぷちだけど男の美学を人生貫く」みたいなシーンもなく、
なんというか消化不良。


ショックシーンも多々あるのですが、

「血が出ればいいのか、傷が出ればいいのか」

と思ってしまったこともしばしば。

レスラーで受けたからね…と心の中でつぶやいてしまったくらいです。

多分、てんこ盛りが過ぎたのかもしれません。

どうせならどこかにポイントを絞ってほしかった。

たとえば、バレリーナという職業とは

「尼僧の献身と、スポーツ選手の肉体」

と、先日観たパリ・オペラ座バレエ団の映画に出てきた台詞ですが

その芸術家として、求められるものを表現できない苦悩と
完璧を目指すがゆえに、不完全な自分を受け入れられない苦しみ、
ライバルに取って代わられる恐怖

こうした芸術家的な側面をメインにするか

または、バレリーナをあきらめた母と
バレリーナになった娘との間の、隠された精神的敵対関係をメインにして描くか

はたまた性欲に負けてバレリーナになれなかった母と
それがゆえに性的なものを抑圧されている娘の性的欲望が
何かを起爆剤として解放されるにつれ、ニナを壊していく…

となど、どれかに的を絞ったほうが映画的にもっとしまっていたのかな、と感じました。

ナタリーの演技もいつも眉間にしわ寄せていて、
正直、ずっと前の作品のクローサーの方がもっと幅があったような気がします。
妊娠したからご祝儀なのか、
はたまたエロシーンを体当たり演技したから賞をもらったのか?と疑ってしまう。

他の女優さんたちも、バーバラ・ハーシーにミラ・クニス、ウィノナ・ライダーと
実力派が勢ぞろいしているのですが、なんとなくどの人もうまく使われていないような。

ヴァンサン・カッセルもあいかわらずあやしげなフランス人役で
悪くないけど、たまには違う人使ってもいいんじゃない?と思ったり。

なんだか題材もセンセーショナルだし、
俳優さんも豪華だし、
ネタとしてもフレッシュなんだけど
それはたとえば、新鮮な鮭を買ってきて
フライにしようか、塩焼きにしようか、はたまたパイ包みにしようか、とわくわくしていたら
ピザの具になって出てきたような、そんな感じがしました。
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| エイガ | 18:08 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

感想文ありがとうございます

「ブラック・スワン」の感想文ありがとうございます。
いつもながらプリシラさんの細やかな分析には恐れ入ります。
私だったら好きか嫌いかでほとんど終わってしまいます。
おもしろそうだけど、怖そう、気味悪そう、なので見るか見ないか迷っていましたが、見ないほうにグッと傾いてしまいました。
これからも映画の感想文楽しみにしています。

| カミーノ | 2011/01/22 15:21 | URL |

カミーノさんへ

こちらこそ読んでくださってありがとうございます。
多少はお役に立てているようでうれしいです。

面白くないことはないのですが、あおり文句ほどじゃないといったらいいのでしょうか。

これからも細々と続けて生きますので、よろしくお願いいたします。

| プリシラ | 2011/01/23 09:52 | URL |

初コメントさせていただきます。
いままで、あちらこちらで読んだブラックスワン評で、一番私の感じたものを言い表してくださっているな、と思いました。
アカデミー賞は、その作品というより個人への肩入れ票(わたし個人としてはナタリー・ポートマンはブルーべりナイツのほうがよかったかな)なのかなあ、と思ったりもしました。イザベル・アジャーニの映画、未見なので、みたいです。

| mizu | 2011/09/04 15:51 | URL | ≫ EDIT

Mizuさんへ

こんにちは。コメントどうもありがとうございます、と同時にお返事遅くなって申し訳ありません。

同じように感じた方がいらっしゃると聞いて嬉しいです。
本当に惜しい!って思ったんです、私。
イザベル・アジャーニの映画は本当に鬼気迫っていて、イザベル・ユペールのピアニストと併せてみると
フランス女優の女優魂をひしひしと感じさせられます。なんというか…リアルな気がします。

| プリシラ | 2011/09/20 18:14 | URL |

はじめまして

私も、最近レンタルDVDで見たのですが、思っていたより、深みがなかった…というのが正直な感想でした。それなりに面白かったような気もしますが、心に響かないと言いますか…。

プリシラさんの記事は的を射ていると思いました。

| fresh-mango | 2011/09/23 16:31 | URL | ≫ EDIT

fresh-mangoさんへ

はじめまして。すてきなハンドルネームですね。

アメリカンであまりヨーロッパの映画を観たことがない客層には
「お芸術!」「レズビアン!」「心理描写!」
って感じで受ける、と判断したのかもしれませんね。
よい題材だけに残念でした。
また何かありましたらどうぞお立ち寄りください。

| プリシラ | 2011/10/01 22:01 | URL |















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