Lost in Australia 

オーストラリアから 映画と英語と暮らしのことなど 色々と

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【映画感想文】Let the right one in(スウェーデン 2008年)

雨降りブリスベンからこんにちは。

Sunshine Stateなるのがうそのような雨続き。
ブリスベンでは冬に雨が降るのはとても珍しいそうです。

そんな気分が落ち込むときには…というわけでもありませんが 評判がよかったので怖がるAを無理やり引っ張って観たのが このスウェーデン・ホラー映画 Let the right one in
Let the right one in

公開時期が同じくらいだったせいか 同様に原作つきで ティーンエイジ・ヴァンパイアの話だったせいか トワイライトと比較されたようでしたが 私は断然こっちのファンです。
てか比べるのは失礼だと思う。


白々とした雪の中 少年と少女が出あう。
お互いに孤独を抱える二人はすぐに打ち解けるようになる。
普通の子供に見える二人だが 少女は吸血鬼という秘密を抱えていた。

スウェーデンの美しい雪の白の中に飛び散る鮮血の赤。
少年オスカーの金髪と 少女エリの黒髪。
色彩的にも非常に美しい。
ヴァンパイア・ホラーという点から残酷なシーンも多々あるけれど
ほとんどのシーンが遠景だったり うまく隠されていて
昨今のスプラッター映画に見られる残虐で人を怖がらせる
面はあまり見られないのも気に入った。

昔からティーンエージャーの孤独を描くのに吸血鬼は最適な
道具として使われてきて 成功した映画は ニアダークや
ロストボーイズなど多々ある。最近では トワイライトがその
例だろうけれど 正直あの作品は買っていない。MTVアワードには
選ばれたけれど この映画のように 残酷さ 純真さ 痛いような
孤独感はちっとも伝わってこなかったから。

少年オスカーのおかれた立場はつらい。

学校ではいじめに遭い 家庭では両親が離婚し 母は仕事に忙しく
田舎に住む父と会うのが唯一オスカーが子供らしく笑っていられる場所。
だけど それ以外はどこにも居場所がない。そんな中で 極寒の戸外で
上着もなしで平気なエリと出会い 初めて友情というものを味わえた。

オスカーは先生や両親といったおとなに囲まれている。誰もが
オスカーのことを愛してはいる。だけど オスカーがいじめられていることに
気づくほどには注意を払ってはいない。

かたやエリは 子供の姿をしていても 精神は年輪を重ねている。
そう言う点ではオスカーよりはるかに大人ではあるけれど 食料となる
血を手に入れるには 大人を頼らなくてはならない。そしてその性質ゆえに
一カ所にはいられず 友達を作ることもかなわない。昼は外出することも
できず 闇夜の中をさまようことしかできない。

こうした2人が出会い 恋愛というよりは お互いになくてはならない相手を見つける というのが
オスカーとエリの関係で この二人の濃密な 自分にはこの相手しかいない 
という気持ちは トワイライトがおままごとに見えるほどだ。
しかもエリは少女であるように描かれているが 果たして本当に少女なのか
一応それらしき描写はあるけれど 顔だちを見ているだけでは少年のようにも
見える。

だけれど この子供だけが オスカーのいじめによってささくれた気持ちに気づき
いじめに立ち向かう方法を教えてくれた。いやもしかしたら オスカーの助けを求める
心の叫びを嗅ぎつけてエリは隣の部屋にやってきたのかもしれない。

大人は本来なら子供を守る役割を果たすはずが この映画では見事にその機能を果たしていない。
オスカーの周りの大人は 大人たちの感情や生活を優先して オスカーに対して
会話をしようとする意思を見せない。唯一 話し相手をしてくれそうな父さえも
友達を優先する。かたやエリの保護者と思われる男性は 血を絞り取る相手を
狩るのに 今までこんなのでどうやってやってきたのだろう と 不思議になるほどの
ドンくささ。結局エリを守ることができずに終わる。

タイトル Let the right one in というのは 吸血鬼と犠牲者の関係で
吸血鬼は犠牲者の部屋に入るのに 入れてくれ と頼み 受け入れてもらえないと
部屋には入れない。血を吸われるのだから Rightでもないのだけれど
オスカーにとっては Wrong oneであるエリだけが 彼の傍にいてくれたという皮肉。
たとえ吸血鬼であって まるで血を求めるときには
獣のように振舞う異形のものであったにしても エリだけが
オスカーの傍にいてくれた。
だからこそ エリの正体がわかっても オスカーは結局エリを選ぶ。
孤独ならば たとえそれがRight oneではなくても選んでしまうという 
誰かに傍にいてほしいと願う気持ちと お互いに事情は違えどアウトサイダーであるいう点で
Right oneであるという相反する意味でこの映画は孤独というものの性質を描こうとしている。

タイトルはまた 被害者こそが関係の鍵を握っている という
事実も示している。犠牲者が入れることを拒めば 吸血鬼は去るしかできない。
結果が悲劇に終わると感じるのはその人次第で もしかしたら吸血鬼を
受け入れることで幸せな死を迎えるのはとても幸せなことなのかもしれない。
そんな関係であっても 誰かが自分を選んでくれた と言うのはある意味特権である。

この関係は恋愛を初めとする人間の関係すべてにあてはまってはいないだろうか。
誰かに必要とされる。
受け入れてほしいと請われる。
それに対する決定権は自分にある。
それでよいと思えば受け入れ いやなら受け入れない。

こうしたことが 冗長なナレーションなしで オスカーの心を表すかのような
過酷な冬の風景からも オスカーとエリの表情からも伝わってくる。
ラストシーンまで目が離せない 低予算ながらも見ごたえたっぷり。

ハリウッドが既にリメイクする契約を結んだそうだけど
この雰囲気は絶対なくなってしまうんだろうな。
きっとなんだか安っぽいプラスチックみたいな美少年と美少女の話になってしまうのだろう。
なんでもリメイクするのはやめてほしい 本当に。
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| エイガ | 18:02 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

プリシラさんの解説を読んで是非見てみたいと思いました。でも、たぶんDVD出るまで待たなきゃ無理でしょうが。。。

ほんと、何でもハリウッド風にリメイクするのやめてほしいですよね。同感。

| triple D | 2009/06/03 12:12 | URL |

ひょえっっ・・・・

いやーん、怖~~~!怖いですよ、この画像((( ̄■ ̄;;;)))
あの、、、血を吸われちゃったら死んじゃうんですか?
バンパイアになるんじゃなくて。。。。いやいや、そこじゃなくて

>この関係は恋愛を初めとする人間の関係すべてにあてはまってはいないだろうか

言えますね~!怖いけど観てみたいと思いました、猛暑に。
スウェーデンホラーって何だか判んないけど日本でレンタルできるのか調べてみます(ブルルルr

|  百 | 2009/06/03 13:18 | URL |

Triple Dさんへ

そうですね~ しかもDVDもレンタルショップに並ばなかったりして 最近悲しいです。うちの近所はいわゆるヒット作しか入荷しないのでせっかく行っても何も見るモノなくって帰ってきたりします。

ハリウッドはやはりお金回収してナンボなので 受けやすいようにしちゃうんでしょうが それがたとえわかってもやっぱり原作を損なうようなリメイクはやめてほしいですよね!同感していただけて嬉しいです。

| プリシラ | 2009/06/08 20:55 | URL |

百さんへ

そういえば吸われて死んだ人もいるし ヴァンパイアになる人もいたような…どっちなんだ!

調べたら日本でも公開するようです!機会があればぜひ!でもお嬢さんはきっと怖がるので連れて行かれない方がよろしいかと…。Aは怖いシーンで目をそむけてました(と横目で確認した意地悪な人)。

| プリシラ | 2009/06/08 20:57 | URL |

はじめまして

旧い記事にコメント、ごめんなさい。

>しかもエリは少女であるように描かれているが 果たして本当に少女なのか

最近日本でも原作の翻訳(邦題『Morse -モールス』ハヤカワ文庫)が出版されたので読んだのですが、すごい秘密が!

| esme | 2010/03/08 16:08 | URL | ≫ EDIT

esmeさんへ

はじめまして。
コメントどうもありがとうございます。

そんなすごい秘密があるのですね!
楽しみです。
アマゾンの書評で見たらちょっと日本語がヘンらしいので
図書館で借りてきます。
いい情報ありがとうございました!

| プリシラ | 2010/03/09 18:36 | URL |















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