Lost in Australia 

オーストラリアから 映画と英語と暮らしのことなど 色々と

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リトル・ミス・サンシャイン - 負け犬だって いいじゃない

先日観た リトル・ミス・サンシャイン
とっても オモシロカッタので 感想を少々。

まだ日本では未公開ですが クリスマスにカップルで観るには ちと どぎづいかもしれませぬ。

何せ 登場人物が 全て アメリカ的 かつ アメリカ的なるものへの 反感 というか 「こんな アメリカでいいんかいな」 という 監督のぼやきに満ち満ちているようです。

また長くなったので 続きを読みたい方だけ 以下をドウゾ↓


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登場人物ですが、まず お父さんが強烈。
motivational Speaker という 職業。
これ、なんだと思いますか。
そう、「成功するための秘訣」みたいのを 教える人。
いわゆる メンター(導師)なのですが、アメリカって そういうの 好きですよね。知ってる方 いつも ワタシに 「これ ぜ~~~~~~~ったい ためになるから読んで!」と 「成功する人の7か条」とか 貸してくれたがるのですが そんなの読む時間があったら 手持ちのミステリでも読んだほうが・・・と つい 思ってしまう。

アメリカでビジネスしてた方なので そういうものが好きなのでしょうが 彼女を見ると この お父さんを思い出しちゃいます。

しかし 『成功するためにあなたはどうしたらいいか』を 説いているわりには この お父さんぜ~んぜん 成功しちゃいません。むしろ 「負け犬」。日本で流行った「負け犬」なんて 眼じゃない 本物の負け犬です。でも お父さんは 自分は成功者の仲間入りすることを疑わず 自分の成功哲学を売り出して 大金持ちになることに賢明です。

そういう意味では いいお父さんではありますが、この 「成功にとりつかれた」ってとこが とてもとても アメリカ的。お父さん、やっきになって 自身の「成功哲学」を 家族に押し付けていますが 聞いているのは一番幼い娘のオリーブのみ。他に誰も聞いてくれないから家族に聞いてもらいたいのでしょうが 家族には疎まれる有様。

この負け犬の奥さんを演じているのが オーストラリア女優の トニ・コレット。地に足の着いた役が得意で 最近のアメリカ女優には少ない いい意味でグラマラスじゃない女優さん。この映画で ゴールデングローブに ノミネートされています。

いい人そうですが こんなダンナ、お義父さん、手のかかる息子の面倒みていて ストレス120%。一人になっては タバコをすぱーと ふかして 昨今の 健康オタクのアメリカンに反抗しております。

お義父さんはというと、豪快です。
この人は アメリカ70年代を生きてきた 現代のスクエアなアメリカ人像に対する存在で じいさんなのにコカイン吸って 高齢者用施設を追い出されたという 自由奔放さ。いでたちも イージーライダーの名残でしょうか 言葉使いも 4文字言葉連発。でも 孫は本当にかわいがっていて オリーブに ミスコンのための ダンスの振り付けをしています。

オリーブは タイトルにもなっている カリフォルニア州の ちびっこミスコン リトル・ミス・サンシャインに出場し ミスカリフォルニアになるのを 夢見る少女ですが 見た目はどうみても 「フツー」。

眼鏡をかけた ちょっと太目の女の子ですが ビデオを観ては 授賞の瞬間の表情を練習してたり と この子は いわゆる 「コドモの頃から 美に憧れる」という点では 普通ながらも 「コドモに オトナの化粧、衣装をつけて それでいて 子供らしく振舞え」という ミスコン出場幼児への 訳わからない アメリカンWスタンダードを 皮肉っているよう。

オリーブの上のお兄さん、ドウェインは、空軍士官学校入学を反対されてから ニーチェの沈黙の誓い を 守っているという 点で コロンバイン事件で話題になったような ちょっと暗めの青年です。家族との会話は全て筆談で 家族全員を憎んでいる ティーンの少年にありがちな パターン。

こんな 崩壊家庭を描くのは アメリカお得意ですが 更にここに トニのお兄さんであり フランスの作家 プルーストの権威と 自称していたものの 学者としての立場も 恋した人も同時に奪われた フランクが から大変。この人 この件で自殺未遂をしかけ しかも ゲイ。知識人といえば ゲイだよね!って 皆思ってるよね!てな 監督の ブラック加減。

これを演じる スティーブ・カレル、アメリカ版オフィスや 40歳の童貞など コメディアンですが とても いい味出しています。ことあるごとに「オレは プルースト研究では 第一人者なのに」と ブチブチ言っているところが 負け犬感全開で 笑えます。

というわけで フランクを迎えた 夕食は とても ぎこちないものになるわけですが そこへ オリーブのミスコン繰上げ当選が決定。おおはしゃぎする オリーブですが、彼女一人を行かせるわけにはいかない。フランクは自殺未遂後で 観察の必要ありなので 一人にしていけないし、お義父さんは かわいい孫娘の晴れ姿を観たい。お母さんは お金がないけれど 全員をカリフォルニアに連れて行くには VWのミニバンしかない、でも運転できる自信なし。しかし お父さんは 自分の成功哲学の件で 連絡待ち。しかし 家族のため ということで いやいやながらも 同行する。家族なんて くそくらえ 一人で残ると 言い張るドウェインだけれど 一緒に行ったら空軍士官学校に入ってもよい、とのお母さんの許しで 珍道中はスタート。

色々あって 結局家族は一つ というのは お決まりのパターン。

とはいえ、この映画の素晴らしいところは お涙頂戴な 家族の和解なんぞに 走らないところ。決して 「家族って いいわね・・・ホロリ」なんて 涙を流すハメには至りません。家族って こんなもんだよ・・・と トホホなことが 連続です。

どう見ても 現代アメリカの定義では 負け犬でしかない この家族。

夢は 打ち砕かれ、残された物は何もない!という がけっぷち状態の この家族を最後に和解させるのは よくも悪くも お義父さん。その和解だって 

「負け犬だって いいじゃん!成功するって 何よ?成功の価値って 何よ?いいじゃん!」

みたいな なかば やけっぱち状態。

映画全体を覆う 雰囲気としては この 

「今のアメリカって どうよ?」

というギモンを 直接ではなく ちくり ちくり と 笑いに包んで 表示。

特にこの映画の中心となる 子供ミスコンの グロテスクさが 見もの。

会場で 見られる 子供のコンテスト参加者と そのお母さんたちは 本物だそう。後で スクリーンで自分たちを見て 「ぎゃあ 恥ずかしい!」と思うか 「いい記念になるわぁ」と思うか なら 絶対後者でしょう。

フツーのコドモである オリーブは この 人造人間みたいな ジョン・ベネちゃんもどきの 子供が集まる会場では 異物 かつ 冷たい眼で見られます。だけど 本当は この子が普通なのだ という 概念は 会場にいる関係者にも出場者にもありません。美しさ を 競う中 人の心の優しさや ゆとり なんてものも なくなった ぎすぎすした 管理社会をほのめかすところ とても 秀逸です。美しさ を 上辺でしか捕えない 風潮ですが 会場に来ているミス・カリフォルニアは アジア系ですが 彼女は営業かもしれないけれど 優しい言葉をかけてくれるところとか 各所に散りばめられている 「アメリカも まだまだ 捨てたもんじゃないよ」 という つぶやきも 聞こえてきそう。

そして この アメリカ的なる 表面だけの美しさを競う大会を せせら笑うかのような事態発生。

「オマエラ 美しさ とか 子供らしさ とか 言ってるけど 実際評価してるのは こういうことじゃないか」

という せせら笑いが聞こえてきそう。

いやいや 楽しい映画です。

負け犬だって いいじゃない 成功だけが 全てじゃないよ という 一所懸命 一番であろう 成功しよう お金持ちになろう 美人になろう という あらゆる アメリカ的成功の定義に 疑いを 投げかける という点で必見です。

日本は いつも アメリカの後追いをしていて、最近では 勝ち組負け組 とか やっていますが そんな社会は ぎすぎすしちゃいませんか? 負け犬だって いいじゃない 大体 誰が負けだの 勝ちだの 決めてるわけ? とか 考えると 人生ラクになりますよ って 言いたいのかしら と 劇場を出てから考えました。

これは 余計な話ですが この家族が乗るVW アメリカでは バス と 呼ばれていますが オーストラリアでは コンビ と 呼ばれています。Kombination という VWがつけたドイツ名をそのまま 縮めて読んだそうです。さすが 何でも縮める オーストラリア!

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| エイガ | 08:25 | comments:5 | trackbacks:2 | TOP↑

アメリカ映画でありがちなハッピーエンドも、奇麗事で終わる映画も嫌いな私にとって、これはかなり良さそうです。^^
自虐的な映画とか大好きなので、やっぱりイギリスは私に合っているのかなぁ、なんて最近では思うし(笑)。
でも、これもやっぱりアメリカ映画なんですよね?
負け犬だなんだって、人と比較してしまうのは日本人の悪い癖だと思ってたけど、アメリカでもこういう風潮って結構あるんですねぇ。
メンターとかあれ系の本って日本人も好きだけど(笑)、やっぱり日本とアメリカはそういう点では似てるのか。
私も啓蒙系の本を読むくらいなら、猫の雑誌でも読んでるほうが楽しいです。
(猫の)生活の役に立つし~。

| 日本カモシカ | 2006/12/18 21:23 | URL | ≫ EDIT

日本カモシカさんへ

一応ハッピーエンドで 「涙が出ること請け合い」って評されている方もいましたが・・・途中で 一瞬涙が 出そうになる シーンはありましたが 個人的には トホホ系 それでも 地球は回っている!って 言う感じでした。

アメリカって とにかくベクトルが 成功 に 向いていますよね。ガツガツ 頑張って成功し だけど当然それを 褒め称える。

日本は ガツガツしてるのを 見せちゃいけないし 成功したら やっかまれる。

オーストラリアと 日本はそういうところ 結構似てるのかな って たまに 感じますよ。

メンターとか よく考えたらわかるようなこと 言っていますよね。仕事上の 決定に 私情を挟むな あくまでも 会社のためになるように 判断しろ とか。あえて 読むほどのことでもないのかな・・・とか 思ってしまいます。でも 落ち込んでるときに 読んだら 結構いいのかも?

| プリシラ | 2006/12/18 23:36 | URL |

オーストラリアと 日本はそういうところ 結構似てるのかな って たまに 感じますよ。

| ロッテントマト | 2006/12/21 20:58 | URL | ≫ EDIT

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| | 2006/12/21 20:59 | |

匿名さんへ

勿論全部が全部 って わけではないので ご心配なさらぬよう。

Tall Poppy Syndrome って 調べてみてください。そしたら わかります。

| プリシラ | 2006/12/21 21:34 | URL |















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『リトル・ミス・サンシャイン』

(原題:LITTLE MISS SUNSHINE)----この映画って、東京国際映画祭で三冠を受賞したんだよね。監督が夫婦ってことでも話題になっていなかった?「そう。その最優秀監督賞に加えて最優秀主演女優賞、そして観客賞。もっともすでにサンダンス映画祭で上映され、配給権をめぐる

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