Lost in Australia 

オーストラリアから 映画と英語と暮らしのことなど 色々と

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女性の性 - The Mother を観て

昔からイギリス映画が好き。
理由はないし、英語もわかりづらかったりするけれど(能力不足といわば言え)、ハナシの内容が好き。勧善懲悪、善悪の分割がはっきりしているわけでもなく、不条理に過ぎたりする、ヨーロッパ映画と同じ位置づけ。ま、イギリスもヨーロッパだから 当然なのだろうけれど。

最近読んでいるのが ハニフ・クレイシ。
変な名前、と思うのは パキスタン系だから。
昔一斉風靡した My Beautiful Laundret の脚本を書いた人。作家でもある。

たまたま立ち寄ったシティにある安売り本屋さん、しかもさびれているのお客が誰もいなかった。クレイシの本を発見し、中身をパラパラ。それほど 難しくないエイゴなのを確認して レジへ持っていくと レジにいた 文学好きそうな見た目のお兄さんが、

「これは いい本だよ」

と言ってくれた。それ以来、少しずつ 彼の本を読んでいる。

表紙の裏側に 今までの作品紹介があって、その中に この映画の台本が あった。週末で、映画館も混んでいそうでいやだなぁ と 行ったレンタル屋に 発見。借りてみた。

内容は 娘の住むロンドンへ出てきた老夫婦。もう孫もいる落ち着いた夫妻である。しかし夫が急死してしまい、妻はロンドンに足止めを食う。慣れない大都会で 他の老女同様にただの「だれだれのおかあさん だれだれのおばあさん」と見なされることを痛感させられる。生気もない、既に死を間近にした存在 と 自分を考えたくないこの女性 May は、娘の恋人であり、息子の家を改築している男、ダレンと関係を持つようになり まだ女性として機能し、存在している自分を実感するが それは長くは続かなかった、といったもの。

一緒に観ていたオージー男性は 途中でいやになったそうで テレビの前から逃げていった。自分の母親を思い出してしまったそうである。そりゃそうだ 普通の男性は70代を控えた女性が 自分と半分の年齢の男性と ベッドを共にする なんて 観たくもないだろう。

しかし翻ってみるに、その 年上の男性と若い女性の組み合わせは 昔からよくある。ロリータ、ラスト・タンゴ・イン・パリ なんかがいい例。年を取ることを恐れる男性が 若い女性とつきあうことで ある意味 若さを取り戻そうとする行為は 広く見られる。援助交際なんてものが そのいい例。

女性が年上の場合は 「きれいなお姉さん」と少年の 通過儀礼 という形を取るので 割と男性の憧れ となりやすい。これもまた ある意味 社会からの刷り込みだ という意見もあって、この場合 児童虐待とみなすべき という考えが広まりつつある。この話はまた別にするとして。

この映画に取り上げられた様な 年齢差 に反撥を覚えるのは 多分男性で、女性は そうよ、そうなのよ、 とうなづく人が多いのではないでしょうか。
女性はいつまで経っても女性なのだ、とは 山之内一豊の母ではないけれど 女性の性欲だって 灰になるまでなくならない、というのが 実際のとこなのだろう。だから 不倫ドラマなんか流行ったし。

多分、男性としては 「母なる存在」 が 性的存在 であることを認めたくないのでしょう。それが 同じくらいの年齢の男性とならいざ知らず、自分の半分の年齢の男性 しかも 娘の恋人だなんて。

タイトルに ついている 定冠詞 The。これが深いんだと思う。何もついていないなら お母さん という一般的なものについて。 A なら あるお母さん で どこの誰でもない。それが The が つくことで このお母さん というものが 特定されています。そして この映画タイトルが指すのは 主人公 May が負う 家族の中での 「お母さん」というものであるべき役割。そして役割は Mayという 個人を縛るものになってしまっている。

人は社会に生きている限り 例えその最小ユニットである 家族と暮らしていたところで 自分に期待されている役割を分担しなくてはならないことが多い。よい娘になることを 期待されて 反抗する映画 は よくある。よい息子たらんとして ダメになっていく という テーマも観たような気がする。よい父親の顔をして 不倫 なんていうのも よくあるし、その反対で 悪い父親が 社会の期待ならぬ 子供のために よい父になろうと 奮闘するっていうのは クリスマス時期にはいいテーマ。良妻が 実は性欲を満たすために 娼婦をしていたのは 昼顔だったし。

この映画の主人公 May は 「社会から期待される おとなしい老女」という社会的存在に 反旗を翻す女性 なのだ。激しく 西洋的映画である。つまり、個人という存在と 社会の対立である。そして 個人は 大きな社会の前に敗北するのであるが。

セックスシーンは満載ながらも 痛々しい映画。熟女もの なんて 通り越した 「人間の存在意義」 と 「社会に生きるなら 役割を守れ」 という 非情な掟に歯向かったある女性の生き方 という見方がお勧め。多分 女性は共感する部分が多いと思う。最後に 何もかもなくして ロンドンを後にする Mayを見て 可哀想 と思うかもしれないけれど 多分Mayは 同情なんか求めない だろう。

また、この映画の新しい点は 今までに 年取った男性ではなく 年取った女性の 性欲を こうまであからさまに描いた作品は なかなか 見られなかった点である。

これも 女性の地位の向上か と 感心すると 共に 男性作家が書いたことも 興味深い。いつも メインストリーム外の世界に生きる人々を 主人公にすることのない ハニフ・クレイシ (いわば 課長なんだかさんとは 別世界)が 次に書く脚本を楽しみにしたい。個人的には 誰かが The Body を 映画化してくれないだろうか と思うけれど 映画にしづらい素材なので ムリっぽい。だけどそんなことがあったとしたら やっぱり主人公は ダニエル・クレイグに演じてもらいたい。

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