Lost in Australia 

オーストラリアから 映画と英語と暮らしのことなど 色々と

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あるスキャンダルの覚書

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Notes on a scandal


昨日見た ヘンダーソン夫人の贈り物 の 愛らしくも無邪気 だけど 愚かで勇気がある ヘンダーソン夫人を演じた ジュディ・デンチが主役の映画です。

しかも 実際に起きている女教師と 未成年の学生の事件が元になっている ということで 話題性は十分。
こちらでは

「我等がケイトの映画」

ということで 評判でした。
私も観に行ったら お隣のおばさん 推定年齢ジュディ・デンチより ちょい下 が お友達と観に来ていたのですが。

観終わった後

「いや~ね~ 私 この映画観て なんかいやになったわぁ」

というような 映画でした。
詳しくは 後ほど書きますが。

さて 今年のアカデミーは ヘレン・ミレンが取ったけど この映画のジュディ・デンチを見た後では う~ん・・・という 感じ。

勿論 ヘレン・ミレンの女王さまはものすごく 品があり 抑えた中にも 感情の動きをきちんと表現していて それは素晴らしかったんだけど この映画で ジュディ・デンチ演じる バーバラの姿を見たら やっぱりちょっとかすんでしまう。

それくらい 恐い。
精神的に怖い。

人間って こうまで 醜くなれるのか と 恐ろしくなる。

外見も 中身も 醜い。
そんな女性を演じています。

この女性 バーバラは 公立学校の先生で なのに子供がダイキライ。
子供がスキとか 教育に熱意がある とかじゃなくて 単に 安定しているから とか 人から尊敬される仕事だから と 選んだのであろう
そして 誰かに無条件で権威を振るえるから と 選んだのであろうことが 映画が進むにつれて 見えてくる。

映画は バーバラのナレーションを背景に進んでいくが これは彼女がずっとつけている日記という形式であり 彼女が何をどう思っているかが わかっていく。

そして ナレーションで聞かれるバーバラのコメントは 本当に意地が悪い。

彼女は全てを 

愚かで
無意味で
どうしようもない
救いようがない

そんな存在として 描いている。
彼女は この世界全てを憎んでおり さげすんでおり そうする資格がどこにあるんだ?と 思わず質問したくなるくらい。
 
生徒たちの質の低下 
生活環境の悪化 
同僚の教師の容姿 
そして 
新任美術教師のシバ。

バーバラという 古風な名前の彼女と違って シバなどという変わった名前
わざわざ庶民のようなふりをしても 隠せない 他の生徒や教師たちより上の階級。
彼女の着ている洋服は ボヘミアン風だけど 実はとても高そう。

若く美しいシバに 最初は距離を置いているものの 経験のなさから 生徒をもてあますのを助けるうちに 二人は年齢を超えて 友人となっていく。
勿論 バーバラは 自分の苦い思いを隠しているし 年だけとって 話し相手は猫だけの彼女にとって 誰かが自分の心のうちを語ってくれる というのは 心地よいことだったのだろう。

そして シバも 登場したときの姿とは違って 実は色々と鬱屈を抱えていることがわかる。
若くして結婚したのも 仲の良かった父親の死去に伴い そりの合わない母との関係から逃れるため。
結婚したのは 自分より20歳くらい年上の夫。
子供は二人いるけれど 上の娘は反抗期で イマドキの子供。
下の子供はダウン症を患っている。

ずっと家族の世話をしてきて 勿論それがイヤだと言うわけではないけれど 世間では

「よいおうちに生まれて 結婚して 子供を生んで が 女の幸せ」

というのが 常識のようになっているけれど シバにしてみたら 自分の青春時代が失われてしまったような気がしていたのかもしれない。
だって 20代なんて 女性にしてみれば まさしく花盛り。
それが全て家庭生活に捧げられてしまった
アーチストになりたかったのに 家族を優先してしまった
自分の欲求を優先したくても やはり 家族への責任もあるし 夫も優しい 子供だって大事
だけど・・・

と シバはシバで バーバラが彼女の若さを羨ましがろうが 彼女なりに失った青春を惜しんでいる。

その後悔とでもいうべきものが シバを 学校の生徒と関係を持つ結果へと追いやってしまう。

実はこの関係が バーバラにばれるのは 結構映画の最初の方であり そのシーンは はっきりと顔がうつされなくても 異常にエロティックに映されている。

バーバラのシバへの思い。
これは 同性愛的な感情 と 書かれており カメラもバーバラがシバを観る時は 男性が女性を見るような目で なんとなくセクシュアルな感覚が見て取れる。

そして 彼女は 自分が掴んだ シバの秘密を 彼女を自分につなぎとめるためだけに 利用する。
それは よくわかる。
なぜなら それは 彼女がシバを失わないための 一番の武器だから。

だけど バーバラ同様に 自分勝手なシバのせいで この武器の威力である秘密の価値と それを使ってバーバラが築き上げた

思いやりのある 年上の友人

という立場を 失わせかける。

シバは シバで この少年から受ける賞賛のとりことなっていたのだ。
いくら美しくても 彼女はしょせん 人の妻。
すぐに美貌も衰える。
だけど 今なら 15歳の少年が 美しいといい 自分を求めてくれる。

この ドキドキ感と 誰にも言えない という 秘密こそが 彼女が失ってしまった 若さを想いださせ 自分もまだ その時代に帰れるという 幻想をシバに与えてくれたのだろう。

美人ではないバーバラには 全く理解できない 気持ちだろう。
だからこそ シバは バーバラに言われても 家族に知られかねなくても 逢瀬を重ねたのだろう。

彼女が関係を持つ生徒はまた どうやら労働者階級らしく アイリッシュ訛りに 集合住宅住まい。

こうした階級が下のものに 惹かれてしまうのも また 上流階級ならでは。
彼女のアトリエにある 昔の写真を見ると どうやら パンクなどをやってたらしい。

聞いた話では パンクに染まっていたのは 結構上流階級の子女が多かったそう。
というのも 窮屈な社会に退屈・反抗したかったから。
シバもそういう 自由を求める心があり 労働者階級の人々が持つ率直さに つい心動かされてしまう原因となったのだろう。
とはいえ 彼女ももう家族がいるのだから 一人で自由を求めようとするのは 相当勝手な話である。

この自分勝手な二人 バーバラとシバは 互いに 自分勝手を重ね 相手の気持ちを思いやらない。
バーバラにとって シバは 自分の力を行使することで 話相手となる いわば 脅迫関係でしかないし シバにとって バーバラは 都合のいいときに助言を貰う相手でしかない。

片方は老いて美しくもなく中産階級の出 片方はまだ若く美しく しかも上流階級の出身

見た目は違っても 同じくらい 自己中心的な人々の話なのでした。

しかし 途中まで この二人の 精神的な戦いが繰り広げられ この先どうなるんだ この二人はどうなるんだ と ものすごく緊張が続きますが ある過去の話が 暴露されたとき この映画は 単なる 

精神的に問題がある人

の話になってしまったようで かなり残念でした。

ゴシップがばれてしまいマスコミ攻勢に会う展開も シバがバーバラの秘密を知ってしまうときも ちょっと メロドラマっぽくなってしまうのが 惜しい。
クライマックスシーンなんて

「随分大時代な撮り方だなあ」

と 思ってしまったくらい。

原作つきだから仕方ないのですが バーバラの姿が 単なるモンスターではなく もう少し深く人間性というもの 孤独というものの正体 例え人間嫌いでも 誰かとつながりを持ちたいと願ってしまい 自分にはないものを求めてしまう どうしようもない悲しさ といった 人間の本質に迫る描き方がされていたら もっと よかったのに と 残念です。

孤独な人間は その孤独に 心を蝕まれてしまう

という 悲しい話ならよかったのに。

孤独な人間は たまたま自分に関心を向けてくれた人 自分が好きだと思った人がいたら その人に精神的にしがみついてしまって その人を失わないために より近くなるために 何でもする という話なんだろう と 思っていた。

そういう寂しい人の話が観たいと思っていたけれど バーバラはそんな弱い人間では全くなかったし シバも寂しい人間だったけれど 人間嫌いだけど それでも愛するものがいた バーバラの気持ちを想像できない程度の人間であった。

だけど 映画の終わりは 壊れてしまったと思った シバの家庭がもう一度 再生の機会が与えられることが示唆されていて シバには帰るところがあったけれど バーバラにはそれがない。
だけど そのせいで ある意味 解放された姿で登場する バーバラの様子には苦い後味が残ります。

私はやっぱり 二人とも 自分勝手な人たちなんだから バーバラにも 何か救いを上げて欲しかった。
もしかしたら あれが 彼女にとっての救いなのかもしれないけれど。

まあ この映画を 捻じ曲がった恋愛物語 と 捉えて 自分の思い通りになる ピグマリオンを 作ろうとして 失敗し続けている 女性の話 と 考えれば それはそれで まさしくイギリス的な映画のパロディとして 受け取ることも出来て いいのですが。

それにしても どうして 年をとった 美人じゃない女性というのは こうも 悪意をもって描かれるのでしょうね?
やっぱり お金もない 年よりは ダメってことなんでしょうか?
こないだ見たVenusと 今度は比較したいと思います。

とりあえず ケイト・ブランシェットって 美人なのに 内面まで表せる女優さんで 色々な役も出来る 現代を代表する女優さんの一人だと思います。
エリザベスに続いて デンチと共演できるということは やっぱり実力あるからなんでしょうね。
だけど 二人で並ぶとやはり ジュディ・デンチの存在感は圧倒的でした。

シバの夫を演じる ビル・ナイの 優しい旦那さんぶりは 緊張感が続く中 一安心できる 存在で 

「こんな 旦那さん 欲しいなぁ」

と 思ってしまいました。

この二人の演技合戦を観るだけでも 価値あり ですが 女性に夢と希望を持っていたい 男性の方にはお勧めできません。
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| エイガ | 22:17 | comments:12 | trackbacks:2 | TOP↑

なんか

面白そうな映画なので、ネタバレ読まないようにして、見てみようかなと思います。
とか云ってもね、ウチはDVD待ちなんですよね。
この火曜日にやっとリトルミスサンシャインを見ます。
(ああ、Dancing sith the stars が)

| siorin | 2007/03/25 23:58 | URL | ≫ EDIT

懐かしい大時代性

こんばんは。

>「随分大時代な撮り方だなあ」

いやあ。まさにそのとおり。
ぼくは、この「大時代的な撮り方」が懐かしく
70年代のマイケル・ウィナー当たりの
サスペンスやホラーを思い出し、
少し嬉しくなったのでした。

もし、内面を深く描く方向に行っていたら、
ノレなかったかも。
もちろん、あくまでも私的な見解ですが…。

| えい | 2007/03/26 01:43 | URL | ≫ EDIT

Siorinさんへ

DVDで見たほうが集中できていいかもしれませんね。
火曜日は映画館でですね~。
ダンスは後で結果だけでガマンしてくださいw

| プリシラ | 2007/03/26 09:50 | URL |

えいさんへ

こんにちは、えいさん。

あの撮り方ははやっぱりちょっと昔っぽかったのですね~。
自分だけかなぁと思ってたんで 賛成してくださって嬉しいです。
後 舞台っぽいのかな?とも 感じました。
舞台の方がこの話 かえっていいかもしれないですね。

色々なシーンの積み重ねをしてキャラクターの掘り下げをしてくれる という点で この映画 内面というか 彼女の抱える孤独が 細かく表現されていたように感じました。
ですので アレ以上の内面描写は不要ですよね。

ただ、そのせいで バーバラのことを 途中までものすごく共感しつつ観ていたのですが あの一点ですっかり 

「なぁ~んだ そうなの」

になってしまったんですよ~。
理由付けというか そういうのはいらない!と 思ってしまったんです。
あの説明さえなかったら と 思うし ラストシーンの意味合いが変わってきていたのでは?

でも 短いのに ぎゅっと凝縮された映画で こういうほうが監督の手腕というのが うかがえるようで 嬉しいです。

| プリシラ | 2007/03/26 10:23 | URL |

もしかして

間違いなんだろうか。
あれだけ云ってたのに。家で見るはずなんですよ。
リトルミス……。
あれれ?

with のつもりがsith になっている。
ああ、どっと疲れた。

| siorin | 2007/03/27 18:09 | URL | ≫ EDIT

siorinさんへ

>with のつもりがsith になっている。

いや・・・そんなのよくありますよ。
スペルチェックしてもらうの 慣れちゃうと 自分が綴り間違ってても気づかなかったりしますよね。

| プリシラ | 2007/03/28 06:59 | URL |

見ました。

DVD で、やはりlittle miss sunshine でした。
私は面白かったなあ。
爺さんキャラが浮いてるとか義兄は云ってたけど、あの爺さん無しでは話が成り立たんので……。

| siorin | 2007/03/29 01:43 | URL | ≫ EDIT

siorinさんへ

あってて よかったよかった。

私も面白かったですよ~♪
よかったら 過去記事読んでください!

じいさんキャラこそが あれが要ですよね。
結局 家族を結びつけるきっかけ作りになるわけですもんね。

まあ その経緯は とんでもありませんが・・・(汗)

| プリシラ | 2007/03/29 08:47 | URL |

こんばんわ

プリシラさん、こんばんわ
この映画の2人のキャラクターの描き方、どうも類型的すぎて
僕はこの映画にのれませんでした。
ラストシーンはまさに予想通り。
やっぱりそうきたか、って感じでした(笑)
TBさせてもらいました~

| moviepad | 2007/06/09 03:46 | URL | ≫ EDIT

moviepadさんへ

こんにちは moviepadさん。

類型的 と 言ってしまえば そうですね。
ハイミスで孤独 リッチで幸せそうだけど やっぱり孤独。
現代とは そういう時代で あちこちに あふれているから 昔なら なかなか描かれなかった人間も 類型的に 見えてしまいがちかも。

斬新な作品って 今ではもう作れないのか 女性対象になると どうしても 類型的になりがちなのか 考えてみても いいかもしれませんね。

TB ありがとうございます。
こちらからもさせていただきますね。

| プリシラ | 2007/06/09 14:37 | URL |

新鮮なビル・ナイ。

 プリシラさん、こんにちは! やっと観たので、トラバさせていただきました。

 ビル・ナイというと、『ラブ・アクチュアリー』のハイパーなおっさん歌手が印象的だったので、この映画でのおとなしい夫役は、新鮮でおもしろかったです。

>孤独な人間は その孤独に 心を蝕まれてしまう
>という 悲しい話ならよかったのに。

 そうなんですよね。私もそう思いました。せっかくジュディ・デンチが演じたバーバラが、最終的には「ただの異常な人」みたいになっていて、もったいなく感じました。さすがの巧さではありましたけどね~。

| 香ん乃 | 2007/06/27 03:28 | URL | ≫ EDIT

香ん乃さんへ

こんにちは。

ビル・ナイといえば ディビッド・ジョーンズ(笑) ですよね とか言ったら殺されそう。
あの ラブ・アクチュアリーの ビル・ナイは あの映画の中で一番好きだったかもしれません。
友達の奥さんに恋しちゃった あの男の人と同じくらい。

香ん乃さんも 同じように 感じていただけて 嬉しいです。
ホント 原作つきだから 仕方ないけど・・・勿体ないですよね~。
香ん乃さん 書き直して下さい!

| プリシラ | 2007/06/28 20:15 | URL |















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あるスキャンダルの覚え書き

あるスキャンダルの覚え書き(2006 イギリス) 原題   NOTES ON A SCANDAL   監督   リチャード・エアー    原作   ゾーイ・ヘラー      脚色   パトリック・マーバー         撮影   クリス・メンゲス                 

| 映画のメモ帳+α | 2007/06/09 02:42 |

『あるスキャンダルの覚え書き』を観たよ。

シェアブログminiに投稿※↑は〔ブログルポ〕へ投稿するために必要な表記です。「気色悪い」のひと言でかたづけられない。『あるスキャンダルの覚え書き』"NOTES ON A SCANDAL"2006年・イギリス・92分監督:

| 【待宵夜話】++徒然夢想++ | 2007/06/27 01:54 |

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